米軍のハワイにおける経済効果は過大評価されていると報告書が主張
ハワイにおける米軍駐留の真のコストや影響を
十分に計算していないと指摘しています

2026年5月28日
ホノルル・スター・アドバタイザー
記者:Chloe Jones
ハワイにおける米軍の経済的な恩恵は、一般的に考えられているよりも大幅に過大評価されている
このような主張をする新たな報告書が、複数の団体や活動家による連合体から発表されました。報告書では、これまでの研究がハワイにおける米軍駐留の真のコストや影響を十分に計算していないと指摘しています。
報告書の概要
この報告書は「The True Cost of the Military in Hawaii(ハワイにおける米軍の真のコスト)」と題された199ページの調査報告書です。
報告書によると、
・米軍がハワイ経済に与える年間経済効果は約72億ドル
・ハワイ州GDPの約6.4%と推計されています。
これは、・ハワイ州商務経済開発観光局(DBEDT)・国防総省(DoD)
が発表している数字より約30%低い水準だとしています。
誰が作成した報告書か
この報告書は、
・政策研究所(Institute for Policy Studies)
・ブラウン大学「Costs of War Project(戦争のコスト・プロジェクト)」
・シエラクラブ・ハワイ支部
・アイナ・アロハ経済未来機構
などの研究者や活動家によって共同作成されました。
執筆者には、
・ジョン・オソリオ氏(ハワイ大学)
・ウェイン・タナカ氏(シエラクラブ・ハワイ)
・カイル・カジヒロ氏(ハワイ大学)
・ネタ・クロフォード氏(ブラウン大学)
などが参加しています。
報告書の主な主張
① 軍の経済効果は過大評価されている
報告書の共同執筆者であるデビッド・ヴァイン氏は、
「軍の支出すべてをハワイ経済への利益として計算することに問題がある」
と主張しています。
例えば、
・軍人給与
・年金
・社会保障給付
・メディケア
・州外へ流出する税金
なども経済効果として計上されているため、実際にハワイで循環している金額はもっと少ないとしています。
報告書では、軍人関連給与として計上されている約62億ドルのうち、実際にハワイ経済へ残る金額は37億ドル以下ではないかと分析しています。
② 軍用地の利用は適正な対価が支払われていない
報告書では、ハワイ島のポハクロア訓練場などの軍用地について、米軍は65年間のリース契約でわずか1ドルしか支払っていない
と指摘しています。
また、1964年以降の公正市場価格ベースで計算すると、本来支払われるべき地代総額は約1,337億ドルに達すると試算しています。
③ 軍の存在が住宅価格上昇の一因になっている
報告書によると、基地外住宅を必要とする軍関係者の需要によって、
2024年のオアフ島の平均家賃は7.1%押し上げられたと分析しています。
その結果、
軍関係者以外の住民は年間約2億3,480万ドル
1世帯あたり約1,848ドルの追加負担を強いられていると主張しています。
④ 環境汚染のコストが十分に考慮されていない
報告書では、
・レッドヒル燃料施設の漏洩問題
・PFAS(有機フッ素化合物)による汚染
などの浄化費用についても言及しています。
報告書では、浄化や環境回復に必要な費用は最低でも4億9,300万ドル
に達すると試算しています。
米軍側の反論
インド太平洋軍はこの報告書に対し、
「ハワイは米国のインド太平洋戦略における重要な拠点である」
と説明しています。
また、
「我々はハワイの土地と住民を尊重し、地域社会の良きパートナーであり続ける」
とコメントしています。
州政府側の見解
ハワイ州軍事・地域社会関係局(MACRO)のローリー・ムーア局長は、
今回の報告書と州の調査は計算方法そのものが異なるため、単純比較はできない
と説明しています。
州の調査では、
・軍人給与
・政府契約
・インフラ投資
・基地運営費
などを含めた経済活動全体を計算しています。
また、
軍の影響は経済だけではなく、
・雇用創出
・災害対応能力
・教育連携
・地域社会との関係
なども考慮する必要があると述べています。
住宅問題について
報告書の共同執筆者であるオマール・オカンポ氏は、
「米軍はハワイの住宅危機を引き起こしている大きな要因の一つである」
と主張しています。
同氏は、
「家賃や住宅価格は上昇を続けているが、住民の所得はそれほど伸びていない」
と指摘しています。

今後の論点
報告書では、
2029年に期限を迎える軍用地リース契約の再交渉において、
・土地利用
・環境回復
・地域経済への影響
を十分考慮すべきだと提言しています。
また、一部の軍用地については、
・公園
・農地
・文化施設
・公共インフラ
への転換も検討すべきだと提案しています。
まとめ
今回の報告書は、「米軍はハワイ経済に大きく貢献している」
という従来の見方に対し、・経済効果は実際にはもっと小さい可能性がある
・住宅価格上昇や環境問題などのコストも考慮すべきである
という問題提起を行っています。
一方で州政府や軍は、
・安全保障上の重要性
・雇用やインフラ投資
・災害対応能力
なども含めて評価すべきだと主張しており、今後も議論が続く見通しです。
この問題は2029年に期限を迎える軍用地リース契約の更新交渉にも大きな影響を与える可能性があるとして、ハワイで注目されているテーマの一つとなっています。
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