「ハワイ不動産王 日本企業の40年史 ~バブルが終わっても、日本企業はなぜハワイを選び続けるのか その2~」

当時、日本企業はホテルだけではなく、
商業施設やゴルフ場、リゾート開発などにも積極的に投資を行いました


1. バブル期の熱狂とハワイ不動産への積極投資

1980年代、日本はバブル景気の真っただ中にあり、多くの企業が積極的に海外へ投資を行っていました。 その中でも、日本企業が特に注目した場所がハワイです。 日本から飛行機で比較的近く、年間を通じて温暖な気候に恵まれ、日本人旅行者からも高い人気を誇るハワイは、「観光地」であると同時に、「投資先」としても大きな魅力を持っていました。

当時、日本企業はホテルだけではなく、商業施設やゴルフ場、リゾート開発などにも積極的に投資を行いました。 「日本企業がハワイを買っている」 そんな言葉がニュースや新聞で取り上げられた時代を覚えている方もいらっしゃるかもしれません。

2. バブル崩壊による撤退と、ハワイに残り続けた日本企業

しかし1990年代に入り、日本経済はバブル崩壊という大きな転換期を迎えます。 不動産価格は大きく下落し、多くの企業が財務改善のために海外資産の売却を進めました。 ハワイも例外ではありません。 それまで日本企業が所有していたホテルや商業施設は、アメリカ企業や世界各国の投資ファンドへと次々に売却されていきました。 では、日本企業はハワイから完全に姿を消してしまったのでしょうか。

実はそうではありません。 現在でも、日本企業が所有・運営に関わるホテルや不動産は数多く残っています。 例えば、西武グループはプリンスワイキキをはじめ、ハワイ島のマウナケアビーチホテルやウェスティン・ハプナビーチリゾートなどを保有しています。 三井不動産グループは、ハワイを代表するラグジュアリーホテルであるハレクラニとハレプナ・ワイキキを展開しています。

さらに国際興業グループの京やは、シェラトンワイキキ、ロイヤルハワイアン、モアナサーフライダーなど、ワイキキを代表するホテルの不動産オーナーとして長年ハワイに根付いています。

3. 「立地の価値」を信じ続ける長期保有の戦略

ここで興味深いのは、これらの企業が共通して「短期的な利益」を追い求めているわけではないという点です。 40年以上にわたりハワイで事業を続けてきた企業には、一つの共通点があります。 それは、「立地の価値」を信じ続けていることです。 ホテルの建物は建て替えることができます。

運営会社が変わることもあります。 しかし、ワイキキビーチ沿いやアラモアナ周辺という立地は、世界に一つしかありません。 特にハワイは島という特性上、新しい土地が増えることはありません。 一等地の希少性は、年月が経つほど高まる傾向があります。 だからこそ、日本企業は景気の浮き沈みがあっても、本当に価値があると判断した資産を保有し続けてきたのでしょう。

これは、日本国内の不動産投資にも通じる考え方です。 例えば東京でも、銀座や丸の内、大手町、一番町などの一等地は、短期的な景気変動があっても長期的な価値が評価されています。 ハワイでも同じことが言えます。 観光客数が増減しても、その土地の価値そのものは変わりません。 だからこそ、長期保有という選択が大きな意味を持つのです。

4. 現代のハワイ投資への教訓と「資産を育てる場所」としての未来

近年は、日本人投資家の間でもハワイへの関心が再び高まっています。 コンドミニアム投資、ホテルコンド、商業不動産、取得および事業のM&Aなど、投資対象は多様化しています。 そのような中で参考になるのが、日本企業が40年以上かけて築いてきた投資の歴史です。 華やかなホテルブランドや話題性だけではなく、「どの場所を選び、どれだけ長く保有するか」という視点は、これからハワイへの投資を検討される方にとっても大きなヒントになるでしょう。

私自身、ハワイで事業を行い、多くの不動産やM&A案件に携わっていますが、本当に魅力的な物件ほど市場に出る機会は多くありません。 そして、その価値は価格だけでは測れません。 立地、将来性、周辺環境、供給の希少性など、多くの要素を総合的に見て初めて、その本当の価値が見えてきます。 ハワイには今も、日本企業が長年守り続けてきた資産があります。 その歴史を知ることで、ハワイという市場を「旅行先」ではなく、「資産を育てる場所」として見る新しい視点が生まれるかもしれません。

次回は、ワイキキを代表するホテル群を所有する「京やグループ」に焦点を当て、日本企業がハワイで築いてきたホテル事業の歴史をご紹介します。

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