ウーバー、エクスペディアの買収を検討中?– スーパーアプリ構想の行方

ウーバーの戦略や買収の背景、そして今後の展開について解説

2024年10月、ウーバーテクノロジーズが旅行予約大手エクスペディアの買収を検討しているとの報道が話題になっています。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によれば、ウーバーは買収のアドバイザーに接触し、初期段階の協議を進めている模様です。この記事では、ウーバーの戦略や買収の背景、そして今後の展開について解説します。

ウーバーのCEOであるダラ・コスロシャヒ氏は、2017年までエクスペディアのCEOを務めており、現在も同社の取締役です。この背景が、今回の買収検討に影響を与えているとされています。

しかし、もし買収交渉が進んだ場合でも、コスロシャヒ氏は利益相反を避けるため、直接的な関与を避けると見られています。

ウーバーがエクスペディアの買収を検討している理由の一つは、「スーパーアプリ」戦略です。ウーバーは、ライドシェアやフードデリバリーだけでなく、旅行や宿泊予約などのさまざまなサービスを一つのプラットフォームに統合しようとしています。

エクスペディアを取り込むことで、旅行や出張の需要を自社アプリ内で完結できるようになり、ユーザー体験の向上と収益性の向上が期待されます。

16日の報道を受け、エクスペディアの株価は時間外取引で9%上昇しました。一方で、ウーバーの株価は一時3%下落。投資家は、この買収がウーバーにとって戦略的なメリットをもたらすかどうか慎重に見極めているようです。

ウーバーとエクスペディアの間では、レンタカー予約など一部のサービスが重複しています。しかし、両社が協力することで、例えばウーバーの配車とエクスペディアの旅行予約をシームレスに連携させるなど、新たな付加価値を生む可能性があります。

特に、旅行先での移動をウーバーがサポートすることで、ユーザーにとって利便性が向上します。

2023年、ウーバーは創業以来初めて通期で営業黒字を達成し、さらに24年4~6月期のフリーキャッシュフローが前年同期比で5割増の17億ドル(約2500億円)に達しました。

また、同年には自社株買いも開始し、株価は年初来で4割上昇しています。一方、エクスペディアの株価は同業他社に比べて伸び悩んでおり、今回の買収がエクスペディアの再成長につながる可能性があります。

もし今回の買収が実現すれば、ウーバーはさらに多機能なスーパーアプリへと進化する可能性があります。ただし、買収が成功するかどうかは、企業間のシナジーと投資家の支持が鍵となるでしょう。今後の展開次第で、ライドシェア業界と旅行業界の競争がさらに激化するかもしれません。