積水ハウス、米巨額買収の裏に「2030年問題」 国内減備え

大和ハウス工業vs積水ハウス 米国対決

2024/3/4 5:00 日本経済新聞 電子版

大阪が地盤の住宅大手2社が、米国への動きを加速させている。積水ハウスは約49億ドル(約7200億円)という過去最大のM&A(合併・買収)に踏み切った。大和ハウス工業は現地の中核企業が主導して事業を拡大していく方針だ。世界最大の米国市場で成長軌道に乗れるか。重要な局面を迎えた。

M.D.C.ホールディングスの買収で、積水ハウスは米国の販売戸数で先行する住友林業(約1万戸)、大和ハウス(約6000戸)を抜き去る。そのインパクトは、大和ハウスの芳井敬一社長も「上場会社を買収するのはすごいと思う」とうならせた。

積水ハウスは2017年に米西海岸のウッドサイドホームズカンパニーを約533億円で買収して米国市場に参入。23年までに数百億円規模で非上場企業を対象に3件のM&Aを繰り返してきた。「中小のビルダーのM&Aをいくつも重ねることも考えた」(仲井嘉浩社長)が、一気に拡大する道を選んだ。

海外市場の販売戸数は足元で約5000戸。1万戸の販売戸数を持つMDC社の持つ約1万戸と合わせて1万5000戸規模に跳ね上がり、全米でも5位相当となる。

積水ハウスが買収したM.D.C.ホールディングスが米国で展開する住宅

米国の住宅着工戸数は100万戸以上と世界で最も多い。移民の増加もあり、なおも成長市場だ。
中国は人口が多いが都市部の集合住宅がほとんどで、戸建て住宅市場は小さい。オーストラリアの住宅着工戸数は米国の5分の1程度だ。欧州は市場が小さく、各国で規制も大きく異なるため進出しづらい。培ってきた戸建てのノウハウを生かせるのは米国、というのが日本メーカーの共通認識だ。

日本は市場が先細り、空き家が増えるなど住宅を取り巻く環境が変わる「2030年問題」を控える。
「これからはいよいよ世帯が減ってくる時代になる」。国土交通省の宿本尚吾・大臣官房審議官は1月、大和ハウスが開催したシンポジウムで指摘した。国立社会保障・人口問題研究所が18年にまとめた推計では、23年に世帯総数がピークに達し40年には5076万世帯まで減少する。


住宅市場では人口総数より世帯総数がより注目される。厚生労働省によると、22年6月時点の日本の世帯総数は5431万。国内の住宅ストック数も約6000万戸と世帯総数の数字に近い。人口が減少するなかでも、単独世帯や夫婦のみの世帯が急増したことで総数は10年で1割近く増えた。

戸建てと賃貸住宅、マンションを手掛ける積水ハウスは、既に注文住宅で苦戦が続く。販売単価の上昇によって売上高は横ばいだが、建築戸数は23年1月期に7842戸と10年で5割近く減少した。

「30年以降は世帯数減の影響が出てくる。それまでに強固な基盤を作っておく必要がある」(仲井社長)として、米国を中心に売上高や利益の海外比率を15%程度から30年には50%程度まで高める目標だ。日本で磨いた木造住宅ブランド「シャーウッド」などの浸透がカギを握る。

「大規模なM&Aはいったん完了」(仲井社長)。今後は海外各社のシナジー(相乗効果)をどう生み出していくかが課題となる。仲井社長は「MDCが持っているシステムなど良いところは移植したい」と話すが、具体策はこれからだ。広大な米国で十分にガバナンスを利かせながらシナジーを創出できるかは不透明だ。

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