新潟クボタ、ハワイに県産米輸出 米本土やカザフも検討
新潟米の輸出を加速
クボタ製品の販売・メンテナンスなどを手がける新潟クボタ(新潟市)は、新潟米の輸出を加速する。新たに米国ハワイに向け、出荷を始めた。海外では和食の浸透などでコメの需要が伸びており、国や新潟県なども輸出を促進している。新潟クボタは米国本土や中央アジアのカザフスタンなどへの輸出も検討しており、コシヒカリをはじめとする新潟米を世界に広める。
ハワイではクボタが現地法人「Kubota Rice Industry(Hawaii)Inc.」(クボタハワイ)をオアフ島ホノルルに立ち上げ、コメの輸入や精米、販売などをしている。この現法向けに新潟クボタグループでコメの卸・小売りを手がける新潟農商(新潟市)を通じ、コメを輸出する。同現法は年間900トンの精米能力がある。
ハワイでは和食店に加え、皿や持ち帰り容器に主食とおかずを載せたプレートランチを提供する現地の店などでもパンではなくご飯を出す例が多い。日系人が多いことなどから主食にコメを食べる家庭が一定数あるなど、米食が地域に根付いている。「グルテンフリー」から米粉の需要も伸びるとみられる。
コメの需要が多い一方、ハワイでは稲作をしていないため輸入や米国本土からの輸送に頼っている。米国の主要産地であるカリフォルニア州は近年、干ばつによる不作などでコメの生産量が落ちているという。
価格が上昇し、さらに最近の為替の円安傾向で日本産米の価格競争力が高まっている。新潟農商の小林岳洋社長は「コシヒカリを中心に、新潟のブランド米を出していく」と話す。
新潟クボタは、輸出用米を県内の契約農家に栽培してもらっている。新潟農商を通じ、2023年に年4000トンを輸出(出荷ベース)した。24年は4200トンを見込み、25〜26年ごろには5000トンに拡大したい考えだ。契約農家や生産の拡大などでさらなる供給量を確保できれば、将来的には1万トンを目指す。
実現に向け、輸出先の拡大を検討する。ニューヨークなど米国本土にはハワイを拠点に進出を視野に入れる。
中央アジアのカザフスタンも候補に挙がる。まずは調査などをした上で、輸出可能性を探る。実施する場合は現地企業との合弁などの形を取る考えだ。カザフでは稲作をしており、価格面の競争力は厳しい。新潟米の味の良さをアピールし、販売は富裕層向けを中心に想定している。
また、ドバイがあるアラブ首長国連邦(UAE)も輸出が可能か探る。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、現地で日本料理を出す店は増加傾向にあるという。ドバイには日本をはじめ世界中から観光客が訪れており、こうした需要も期待できるとみる。
新潟クボタはこれまでに香港やシンガポール、モンゴルなどにコメを輸出している。香港とシンガポールはクボタの現法、モンゴルは現地企業と設立した合弁会社に新潟米を送って現地で販売している。輸出先や輸出量の拡大で、需要が減少している国内市場の分を補う考えだ。