【マウイ火災から2年】今も癒えない心と体の傷—被災者たちの
“今”と必要な支援とは?

2023年にマウイ島を襲ったあの大規模な山火事

アロハ!
今回は2023年にマウイ島を襲ったあの大規模な山火事の“その後”についてご紹介します。あれからもうすぐ2年。ニュースではあまり報道されなくなりましたが、被災者たちの苦しみは今もなお続いています。

2023年8月8日。マウイ島ラハイナを中心に発生した山火事は、102人の命を奪い、2,000棟以上の建物が焼失。ハワイ史上最悪の自然災害となりました。

その影響は建物や経済にとどまらず、住民の心と体、そして生活に深く根付いています。

ハワイ大学マノア校の研究チーム「UHERO」が行っている長期追跡調査「MauiWES(マウイ・ワイルドファイア・エクスポージャー・スタディ)」によると、多くの人々が今なお深刻な影響を受けていることが明らかになりました。

調査によると、追跡対象となっている約1,800人の大人のうち…

  • 50%がうつ症状を抱えている
  • 26%が中〜重度の不安症状を訴えている
  • PTSD(心的外傷後ストレス障害)は約3人に1人が該当

さらに、4人に3人が高血圧という深刻な健康問題を抱えており、4人に1人以上が肺機能の低下を示していることも分かっています。

これらはすべて、火災時の煙やストレス、生活の混乱が原因と見られています。

報告によると、41%の大人が今も仮設住宅で暮らしており25%は仕事を失ったまま再就職先を探している状態です。
また、4人に1人が食事を抜くこともあるなど、生活そのものが困窮している人も少なくありません。

MauiWESでは子ども約200人も追跡調査しており、その結果はさらに衝撃的でした。

  • 51%の子どもがうつ症状を示し、そのうち22%は重度
  • 45%がPTSDの兆候を示し
  • 1/4が自己肯定感の低さを訴え
  • 30%が不安症状
  • なんと約20%の子どもに肺機能の低下が見られました

しかも、子どもの場合「症状を自分でうまく言えない」ため、実際はこれよりも多い可能性が高いと専門家は警告しています。

特にウエスト・マウイや田舎地域では医療アクセスが非常に悪いことも課題のひとつ。小児精神科医や呼吸器内科医が不足しており、必要なケアが受けられない子どもも多いとされています。

また、最近ではFEMA(連邦緊急事態管理庁)の住宅支援の終了や、移民問題に対する不安感の高まりも、さらなるストレスの原因となっています。

2024年に調査を始めた時点と比べると、健康状態が悪化したと報告する人の割合は48%→36%に減少
保険加入率も86%から91%に改善し、地域の支援活動や団体によるアプローチが成果を出しつつある様子も見えています。

「家族や近所の支援がある」と答えた人も全体の6割超で、コミュニティの絆が支えになっていることが分かります。

研究チームは、以下のような支援の強化を提言しています:

✅ 学校現場でのトラウマケア体制の構築
✅ 子ども用のメンタルヘルス・カウンセラーの増員
✅ 呼吸器・循環器疾患の長期モニタリング
✅ 恒久的な住まいの確保
✅ 仕事と生活の安定支援
✅ 多言語・文化に配慮したメンタルケア体制

「今がまさに岐路に立っている。ここで健康投資をしなければ、将来的に大きな代償を払うことになる」と研究代表のフアレス教授は語っています。

今回の報告は、単なる調査報告ではなく、「まだ支援が必要な人たちがいる」という力強いメッセージです。
火災から2年経ってもなお、心も体も完全には癒えていない現実を、私たちは見過ごしてはいけません。

観光で訪れる方も、移住を考える方も、ハワイを愛するすべての人が「今この島に必要なもの」に目を向け、応援していけたら…そんな思いを込めてこの記事をお届けしました。

マウイは今も再生の途中にあります。みんなでその歩みを支えていきましょう。

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