オアフ島飲食店コラム04

 南の島、オアフ島が直面している追い風と逆風

南の島、オアフ島が直面している追い風と逆風

日本で特に人気の高い観光地ハワイには、現在大きな追い風が吹いている。

2022年3月8日、ハワイ州のデービッド・イゲ知事は2020年4月から強いている屋内のマスク着用義務と入国に際しての規制や検査も同時に全て撤廃した。

また現在はWithコロナのスローガンのもと、新しい生活様式に切り替えていこうという流れが主流であり、主要産業である観光事業に大きな影響を及ぼすと考えられる。

またJALが2022年12月から国際線の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の値下げを発表。

適用期間は2022年12月1日から2023年1月31日、値段は片道30,500円、往復61,000円となった。

2022年10月1日から11月30日までの値段(片道37,400円、往復74,800円)に比べると、片道6,900円、往復13,800円の値下げである。

このことから、旅費の値下げやコロナ渦後の旅行需要により効果は一時的な値下げではあるものの、ハワイ旅行を検討する日本人が増えると思われる。

 だが、光あるところに闇はある。

 それは店舗経営において必ず必要になってくる固定費だ。

 現在、オアフ島を含めたハワイ全体の家賃相場が前年比6%ほど増加している。

また2022年10月より最低賃金が4年ぶりに上がり、現行の一時間10ドル10セント(約1,455円)から12ドル(約1,730円)に引き上げられた。

さらに2年ごとに段階的に引き上げられる予定となっており、最大18ドル(約2,600円)だ。飲食店経営において、家賃や人件費の高騰はいつか必ず問題になってくるだろう。

 さらに観光事業の柱であるホテル業にもまた追い風と逆風が吹いている。

それは人手不足である。

地元紙であるホノルル・スターアドバタイザー紙によると、米国ホテル&ロッジング協会をはじめ、ハワイ・ホテル連合、アウトリガー・ホスピタリティ・グループ、ハワイ州下院財務委員会の関係者が会合を開き、今後のインバウンド増加による宿泊施設の人材不足対策を話し合った。人材不足の影響は深刻であり、中には宿泊数の制限や大規模なビジネスミーティングの入札への参加を取りやめたりと、業務削減を強いられているほどだ。

このことから、現在ハワイ全土は海外から押し寄せてくる膨大な需要に対応するためのマンパワーが不足している状態だ。

特にホテルは主要産業の柱であるがゆえに政府などの自治組織から膨大な支援を得られ、同時に人材もそちらに根こそぎ持っていかれてしまうであろう。そんな中で単独店舗で飲食店を開いても、家賃や人件費の増加に押しつぶされてしまうのは確実であろう。

 ではどんな飲食店を開けばいいのか。

 ひとつは、観光客向けではなく地元向けの飲食店にすることだ。

今回のコロナ渦などの世界的パンデミックによる減少や、航空会社が行う旅費の引き下げによる増加など、歓呼湯客は絶えず変動する。

しかし、そこに住んでいる人々は滅多なことで引っ越しすることはないため、固定客が確保しやすい。

さらにそういう人々は観光業に従事する方々が多い。
もし旅行客としてやってきたとき、現地取材で数度訪れたことしかない記者がおすすめするお店と、仕事を通していろいろな店を訪れたおかげで地域のお店を知り尽くしたであろう地元添乗員がお勧めする店。

どちらを選ぶかは明白であろう。

つまり地元住民をターゲットにした場合、長期的に見ると観光客を呼び込めるというわけだ。

 もう一つは、現在も経営している店を買収することだ。

すでに経営しているかつコロナ渦でも閉店しなかった店は、それだけで認知度も高い店であると言える。

そんな店を買収すれば、一番困難な集客問題がクリアになる上にすでに形成されたビジネスモデルがあるために初期費用のみである程度の利益をあげることができよう。

もちろん家賃や人件費などはかかるが、一から新しい店を始める事に比べれば低リスクハイリターンと言える。さらに出店となった場合、ローカルエリアであれば家賃や人件費が安く済むため、ますますハイリターンを期待できる。

どちらも大きなリスクを犯さずに進出することができる。さらに今後も観光需要の増加を考えれば、早く動けばそれだけ大きな利益を得ることにつながるだろう。