【現地レポート】マウイ島バケーションレンタル規制法案に賛否両論!地元住民の住宅問題と観光の狭間で揺れる島

観光用に貸し出されていた約6,100戸の短期レンタル物件を長期居住用に
転換するという法案が、今大きな波紋を広げています

アロハ!
今回は、マウイ島でいま最も注目されている政策議論「バケーションレンタルの長期住宅化法案(通称:Bill 9)」についてご紹介します。

観光地としても人気のマウイ島。そんなマウイで、観光用に貸し出されていた約6,100戸の短期レンタル物件を長期居住用に転換するという法案が、今大きな波紋を広げています。

この法案は、1989年以前に建てられた短期バケーションレンタルを含め、すべての「アパート地区」の物件を長期居住用に戻す(revert)というものです。

対象は約6,100戸で、これはマウイ島にある合法的な短期レンタルの約半数にあたる規模
もし可決されれば、2028年7月1日からウエスト・マウイ地区で施行される予定です。

2023年8月、マウイ島では大規模な山火事が発生し、102人が亡くなり、3,500棟の住宅が焼失しました。この大惨事をきっかけに、地元住民が住める家が足りない問題が一気に表面化したのです。

マウイ郡のビッセン市長は、「空いている短期レンタル物件を地元住民用の住宅に転換すべき」として、この法案を強く推進しています。

賛成派の代表的な声として、ネイティブ・ハワイアン支援団体「CNHA(Council for Native Hawaiian Advancement)」のCEO、クヒオ・ルイス氏はこう語っています:

「私たちのコミュニティは今、生き残りをかけて戦っています。住宅問題を放置してきたツケを今こそ清算すべきです。」

また、「短期レンタルが水の消費量を押し上げ、干ばつ地域では新たな住宅開発が困難になっている」と指摘する意見もあり、限られた土地・水資源の中で“地元のための家”を確保する必要性が強調されています。

一方で、法案に反対する声も多く集まっています。

特にオーナーやマネージャーたちは、「物件が老朽化していて地元の人が住みたがらない」「管理費や税金が高く、長期賃貸では元が取れない」と訴えています。

中には、

といった、経済的な損失への不安の声も多く聞かれました。

さらに、ハワイ州元司法長官で現在Airbnbのロビイストであるデービッド・ルイ氏は、「この法案は違憲であり、訴訟になれば覆されるだろう」と述べ、財産権の侵害だと強く反発しています。

2025年6月の審議では、初回に235名、2回目に69名が証言し、まだ100人以上が発言の順番待ちという状態。次回は6月23日(月)と24日(火)に再開予定です。

議会の議論では、「即時全面施行」ではなく、影響が小さい地域から段階的に実施する案なども検討されており、柔軟な落としどころを模索する動きも出てきています。

今回の法案における対立は、まさに**「観光経済を守るのか」「地域住民の生活を守るのか」**という二者択一のような構図になっています。

ビッセン市長は「いま行動しなければ、さらに多くのローカルファミリーがマウイを去ることになる」と警告しており、観光ではなく“人の暮らし”を優先したいという強い思いが伝わってきます。

Bill 9は、単なる条例ではなく、「この島を誰のための場所にするのか」という大きな問いに対する答えを求めるものです。

今後の審議次第で、マウイ島だけでなくハワイ全体の住宅政策の流れが大きく変わるかもしれません。

ハワイに関心のある皆さんも、ぜひこの議論を“自分ごと”として見守ってみてくださいね。

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