オアフ島飲食店コラム・20221114

オアフ島で飲食店を経営する

オアフ島とは…

アメリカ合衆国のハワイ州ハワイ諸島のひとつ。

別名「ギャザリング・プレイス」と、みんなが集まる場所で、にぎやかな島です。オアフ島で飲食店を経営しようと思ったらどうすればいいのか…?
知っておいた方が良い事についての記事です。

オアフ島で飲食店を経営する際のいいところについて

①ハワイは日本人が多く日本語も通じやすい

ハワイは、観光客に限らず、労働者や住民にも日本人がたくさんいます。また、銀行や空港、ホテルといった場所にも、日本人もしくは日本語が話せるスタッフがいるので、英語に自信がなくても安心です。

②アメリカ法人ゆえの資金調達の有利さ

アメリカは日本よりも直接金融、すなわち、株式や社債による資金調達が進んでいる国です。
したがって、IPO(株式公開)やバイアウトなどの資本政策にもよりますが、アメリカのベンチャーキャピタルやエンジェル等からの資金調達が有利となる可能性があります。

③外国の銀行を利用することができる

もちろん日本にいても外国の銀行を利用することはできるかもしれませんが、ハワイで起業したり、会社を設立すると、Bank Of HawaiiやFirst Hawaiian Bankなどで銀行口座を開設し、ビジネスを展開することになるでしょう。ハワイビジネスは当然、USドルで行われますので、ハワイ法人を通じて外貨の取り扱いや、為替感覚について体で感じて学ぶことができるでしょう。

④代表者がハワイに居住していなくても良い

日本で会社を設立する際には、代表取締役のうち少なくとも1名が日本に住所がある人でなければなりません。しかし、ハワイで会社を設立する際には日本人はハワイに住所を有している必要がありません(そのかわりレジスターエージェントを指定する必要があります)。したがって、日本人でも容易にハワイに会社を設立することができるので、これもメリットの1つといえるでしょう。

⑤国際特許戦略上プラス

日本よりもアメリカのほうが特許を取得しやすいという現実があります。ハワイ法人も米国法人ですので、ハワイ法人のビジネスに知的財産権が関連する場合には、特許が必要となるかと思いますが、そのような場合に米国法人であることが強みになることがあります。とりわけ、国際特許出願はアメリカのみで良いというケースでは、アメリカに直接特許を出願する方が安く済ませることも可能です。

気をつけるポイントについて

①登記の年度更新が毎年必要になる

ハワイでは、手数料の必要な、毎年法人登記の更新手続きをしなければなりません。これは日本にはない制度です。ただし、日本では法人住民税の均等割というものが小さくても約7~8万円かかりますので、支出という観点ではあまり変化はありません。

②税務処理が複雑となったり二重課税の可能性が生じる

ハワイに会社を設立すると税務申告が複雑になります。ハワイ本社で日本が支店というケースでは、両方で売上を計上した場合、原則として両国で法人税等の納税義務が生じます。日米租税条約があるので二重課税は生じないとされていますが、実務上は全額控除ができず二重課税となるケースも多いので注意が必要です。この外国税額控除制度はとても複雑であり、精通している税理士ではないと対応ができないという点も留意すべきです。

③会計税務コストの増加と厳しい税務調査

ハワイで飲食店を経営するに当たっては会計税務の処理のコストが日本の会計事務所へ支払う報酬の倍以上はかかることを想定しておいた方がいいでしょう。すべて英語で会計帳簿を作成し、英語で税務申告を行うことから、このあたりについて最低限の理解を有する人員を社内で確保するかアウトソースすることも必要です。税務調査も日本の何倍も人員を投下し何倍もの徴収ノルマがあるため、安易な経費計上は避けるべきです。そのための判断に関する専門家のコスト等も想定しておく必要があります。

④給与計算や保険の仕組みが煩雑

ハワイに限らずアメリカでは毎週給料日があったりします。アメリカ人の中には貯金をしないでその日暮らしをしている人が多いためとのことです。妥協点として、月に2回の給料日を設定して給与計算を行っている日系ハワイ法人が多いように感じます。また日本のような社会保険の制度がないので、従業員を雇用する際にはどのような健康保険・年金・労働保険などを設定すべきか最初に決める必要があります。

⑤訴訟のリスクが日本よりも高い

アメリカは本当に訴訟が多い国です。些細なことでも弁護士が焚きつけ訴訟沙汰になることは日常茶飯事です。そういったリスクはハワイでビジネスを行う上でもどうしても付きまとってしまうことについては留意すべきでしょう。このことは、日本法人のハワイ支店を設立する場合に、ハワイでの訴訟リスクが日本本社に及んでしまうこと意味しています。この点からも当事務所では、ハワイ支店ではなく、ハワイ法人を設立することで、アメリカでの訴訟リスクをアメリカ国内にとどめておくことを推奨しています。

⑥類似商号調査が必要になる

日本にも以前は類似商号調査制度がありましたが、現在は、「同じ住所に同じ社名はダメ」という点だけの規制となり、基本的には類似商号の登記が禁止されなくなりました(不正競争防止法の中で不正な商号利用は禁止されています)。しかしながら、ハワイ州で会社を設立しようとした場合には、この類似商号の調査が少々厄介です。一般的な社名ですと登記局ではねられてしまうケースがありまして、当事務所でもお客様から第三希望まで頂戴しているという状態です。どうしても思い入れのある社名の申請が通らないケースは非常に残念です。

⑦ハワイ法人の日本での信用力が乏しい

先ほどメリットとして、ハワイやアメリカの持つ良いイメージをご紹介しました。一方で、ハワイ法人の日本支店を登記したとしても、ハワイ法人は、●●●●● Inc.という名称となりまして、日本では株式会社と名乗ることはできません。日本の法務局で登記をする際には、日本国内の会社と区別する必要があるため、商号の中に「株式会社」という文字を入れることができないのです。したがって、日本で考えた場合には、ハワイ法人は信用力がないとみなされてしまうケースもあります。

⑧日本で公的金融機関の融資を利用できない

日本政策金融公庫などの公的金融機関は日本国内の会社に対してしか融資を行いません。したがって、ハワイに会社を設立し、日本に支店を登記しても、このような公的金融機関からの融資は受けられないこととなります。また、それ以外の銀行等の金融機関であっても外国法人に融資をするというリスクが取れないので、よほど信用力がある企業グループではない限りハワイ法人が日本の金融機関から融資を受けることは難しいでしょう。

⑨店舗の料金が高い

ハワイではアメリカ本土と異なりエリアが狭いです。本土ほど土地が広くないのでどうしても地価が高い傾向にあります。とりわけ都市部では高く、一か月あたりの賃料の負担が大きいです。日本と違い短期間ごとに契約を結べずに長期間でのリースしかできません。だから柔軟な経営がやりにくい一つの要因となっています。

⑩物価が高い

例えば、キャベツや玉ねぎなど・・・食品などが全般的に高いです。ハワイではコーヒー豆やサトウキビなどを生産していますがそれ以外の食料などは航空機や船舶などアメリカ本土より輸送して仕入れています。このため物価が高くなり外食産業などは経費が高くなり販売価格を上げなければ採算が取りにくい状況となっています。

⑪保険料が高い

日本では従業員を雇っている場合で社会保険料を支払う義務が生じた場合には、従業員と事業者で折半します。けれどハワイでは従業員を一週間において20時間以上働かせる場合には、全額を事業主が負担しなければなりません。従業員を多く雇うほど保険料を多く支払わなければならず経営を圧迫させる要因となっています。

⑫競争相手が多い

ハワイではビジネスにおいて採算がとれる地域が限られています。もともとハワイは人口が少ないため市場がそれほど大きくありません。それに日本が進出している業種は現地でもたくさんあります。限られた市場を現地の企業と奪い合う構造となっています。だから儲けが出にくく撤退を余儀なくされます。

もし企業を考えている方は…参考までにどうぞ。

ハワイビジネス情報館
https://hawaii-business.net/category/property/restrant/

ハワイで働きたい方へのおすすめ物件です。オーナーさんになにか事情があるなど、書いてます。興味があればご確認ください。

ハワイ飲食ビジネス進出セミナー(2022年分終了済)
https://www.hawaiinisumu.com/article/2118

飲食業での海外進出を本格検討している方に、具体的なハワイ進出のチャンスを伝える。

初めてハワイ進出を検討する方にとってハードルの高いビザ取得、会社設立、進出時の注意点についての講義や、日本から進出して残念ながら撤退する企業でよく聞く話が、リース契約などの契約書において「こんなはずじゃなかった!」という借り手に不利な条項が後から経営のネックになり立ち行かなくなる、ということがないよう、出店時に弁護士を味方につけておくことは非常に重要となるといったことを学べます。